印刷物とWebデザインの解像度──その違いと重要性
私たちが日々目にするデザインには、大きく分けて「印刷物」と「Web(デジタル)コンテンツ」の2種類があります。この2つは見た目は似ていても、制作においては全く異なる基準やルールが存在します。その中でも特に重要なのが「解像度」に関する考え方です。
解像度とは?
解像度とは、画像がどれだけ細かく表現されているかを示す指標です。一般的には dpi(dots per inch) や ppi(pixels per inch) といった単位が使われ、1インチあたりにどれだけの点(またはピクセル)があるかを示しています。数値が高いほど、より精細でなめらかな表現が可能になります。
印刷物の解像度:高精細が基本
印刷物では、一般的に300dpiが標準です。これは、印刷機の性能や人間の目で見たときの仕上がりを考慮した数値であり、たとえばポスター、パンフレット、名刺、書籍など、あらゆる印刷物に適用されます。
ただし、大きな看板は遠目でみるためもっと低い解像度でも大丈夫だったり、解像度の非常に高い写真集などはもっと高い解像度になることもあります。
通常の印刷物では300dpi以上の解像度ではほとんど仕上がりに変わりがなく、綺麗な仕上がりを求めて必要以上に高解像度なデータにするとデータが重たくなるだけで効果がありません。
大きな画像を縮小させすぎて逆に画像が荒れてしまう、といったこともあり得るので注意しましょう。
低い解像度(72dpiや96dpi)の画像を印刷用に使用すると、仕上がりがぼやけたり、ピクセルが目立ったりして、プロフェッショナルな品質からは遠ざかってしまいます。
印刷会社によっては受け付けてもらえない場合もありますので注意しましょう。
Webデザインの解像度:画面表示に最適化
一方、Webサイトやアプリなどのデジタルデザインでは、標準的な解像度は72〜96ppiが一般的です。これは、PCモニターやスマートフォン、タブレットといったスクリーンの仕様に基づいた数値です。
最近はRetinaディスプレイや高解像度ディスプレイの普及により、より高精細な画像が求められる場面もあります。そのため、2倍(@2x)や3倍(@3x)サイズでの画像出力が必要になることもあります。
解像度を間違えるとどうなる?
たとえば、Web用に72dpiで作成された画像をそのままチラシに使うと、印刷時に「ぼやけて」見えてしまいます。逆に、印刷用に300dpiで作られた巨大な画像をWebに使うと、データが重くなり表示が遅くなる原因になります。用途に合った解像度の設定は、デザインの品質とパフォーマンスに直結するのです。
最適な出力を目指すために
印刷物とWeb、それぞれの用途に合わせて適切な解像度を選ぶことは、デザイナーにとって基本中の基本です。目的地の異なる旅に、同じ地図を使えないように、出力先によって設計の考え方も変わります。
納品前には、用途に応じたファイル形式(例:印刷用はCMYKのPDF/Web用はRGBのJPEGやPNG)やサイズ確認も忘れずに行いましょう。
イラストレーター上での解像度 ベクターとラスター
ベクターとラスター
イラストレーターのパスで制作できるベクターデータには解像度はなく縮小・拡大しても荒れたりすることはありません!
とはいえドロップシャドウなどラスタライズ機能を使う時にはその部分がラスター化され解像度の設定が必要になります。
また画像を貼り付ける場合も解像度が大切です!
ベクターとラスターの違いについてはこちらから!
まとめ
用途 | 解像度 | 単位 | 主なファイル形式 |
---|---|---|---|
印刷物 | 300dpi | ドット/インチ | PDF, TIFF, EPS |
Webデザイン | 72〜96ppi | ピクセル/インチ | JPEG, PNG, SVG |
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